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【離島留学4期生卒業報告会】松本一ロメルくん『島での時間は僕の支え』

久米島町では、毎年、久米島高校を卒業する離島留学生たちが3年間の想いのたけを綴る、離島留学卒業報告会を開催しています。

参考:離島留学卒業報告会開催しました!

 

お世話になった地域の方々や保護者、友達への感謝の想いを語る、とても素晴らしい場です。文章だけでその雰囲気をすべて届けることは不可能なのですが、彼らのスピーチ原稿を、このブログにて公開していきます~。

 

今回紹介するのは、東京出身、松本一ロメルくんのスピーチです!

久米島高校普通科卒業、東京出身、松本一ロメルくん
久米島高校普通科卒業、東京出身、松本一ロメルくん

こんにちは。久米島高校三年、松本一ロメルです。

これから僕の離島留学の三年間をお話します。

 

学んだことというのは、身体に染み付いているものなので、言葉にするのは難しいですが、できる限り言葉にしたいと思います。

ああ、ここに住もう

久米島に進学するきっかけになったのは、父が教えてくれた新聞記事でした。

 

久米島に行こうとする前までは、中学三年間続けていたバスケットボールの推薦で東京の高校に通おうとしていました。

しかし、久米島が気になり始めて、実際に久米島に見学に行くことにしました。

 

見学に行ったとき、久米島高校の二階から見える海を見た瞬間に、ああ、ここに住もう、と思いました。それから、進学を決めました。

自分の一部を手放して

一年生の時、入学したての頃、僕はバスケ部に入ろうとしていました。

しかしながら、同級生の部員が0人ということもあり、すぐに退部してしまいました。

中学3年間、バスケしかやってこなかった僕にとって、バスケはぼくの一部でした。

それが急に無くなったことで、とても不安になりました。

 

けれど、そんな時に里親さんの吉永さんに中学校のバスケのお手伝いなどを紹介していただいたりして、とても助かりました。

人にバスケを教えることで、今までのバスケの考えをより深く理解したり、教えることの楽しさを覚えることができました。

 

その他にも里親さんにはたくさん助けられました。

僕がバスケをやっているからとか、僕が何かをしているからではなく、僕をそのまま、ありのままで受け入れてくれたことに本当に感謝しています。

吉永家の皆さんありがとうございました。

 

島全体で子どもを見守る環境

僕が、島で一番素晴らしいなと思ったのは、島全体で子ども見守ってくれる環境です。

 

大雨でどうやって下校しようかと困っていた時、同級生のお母さんが乗せてくれたりしました。

島の人たちの島に住む子どもを皆、自分の子のように扱う姿勢を見て、僕も大人になったらこうやって子どもに接したいと思いました。

 

尊厳を感じられれば、人は生きていける

文化人類学の話で、子どもには親以外に話を聞いてくれる親戚のおじさん的な存在が必要だという話があるそうです。

おじさんじゃなくてもおばさんでも良いと思うのですが、とにかく親以外にも見守ってくれる大人が必要なのです。

 

なぜ、そのような大人が必要なのか、僕なりに考えてみました。

子どもは、親以外の大人に見守ってもらうことで、尊厳を感じることができます。

その尊厳というのは、簡単に言えば自分は愛されていると感じることです。これは大人になった時に非常に重要なことだと思います。

 

僕は、このことを去年とても実感しました。

去年の冬頃、僕は高校を辞めたいと思っていました。バスケを辞めてから、自分の学びたいことは何か考える時間ができ、授業ばかり受けるのではなく、自分で学びたいものを学びたい。ここ以外にも僕の居場所はあるのではないか、と考えていました。

僕にとってはつらい時期でした。

 

けれど、そんなときにお世話になった里親さんや島の人の顔が浮かんできて、まだ僕は大丈夫だな、と思いました。

つらいことがあっても、自分が尊厳を感じることができれば、なんとかやっていけることを学びました。

 

これは、大人になっても大切なことだと思います。

大人になれば、仕事をやっている中で、生活していく中で、つらいことが沢山出てくると思います。

でも、そんなときに、この久米島での生活を思い出せば、きっとなんとかやっていけるだろうと思います。

 

自分は愛されている存在で、ありのままでいいんだ、そういった心を久米島で身につけることができました。

 

島の人に見守られながら育った子の三年間は、きっとこれからも僕を支えてくれると思います。

このような島の環境は東京や他の地域にはありません。

なので、この環境はずっと続いて欲しいと願っています。

 

お世話になった方々へ

 

僕はたまたま運が良く、無事に三年間を過ごすことができました。

しかし、留学生の中には学校に馴染むことができず、転校した人もいます。

僕は、この場にいる人だけでも、そういった人がいたということを忘れないでいてほしいと思っています。

 

子どもを見守れる素晴らしい環境があるのも久米島であり、また、まだそういう生徒に対してフォローができていない部分があるのも久米島だと思います。

ぜひ、学校や、様々なところで苦しんでいる子どもがいたら、僕が感じたような島の愛で包んでほしいと思います。

 

最後に、お世話になった里親さん、寮生やマスター、久米島に送ってくれた両親、塾のスタッフ、そしてこの離島留学制度をつくってくださった久米島町の皆さんに本当に感謝しています。

最高の経験ができました。

 

本当にありがとうございました。